はじめに

 トンボは子どもからおとなまでもっとも親しまれている昆虫の仲間の一つです。春のサナエ(早苗)トンボ、夏のギンヤンマ、オニヤンマ、秋のアカトンボと季節の移り変りを知らせてくれます。それは、トンボ私たちのの生活圏が重なっているからでしょう。 
 私も子どもの頃からトンボを家のまわりでよく追いかけていました。その頃、「ムシ」の先生は、祖母でした。「トンボは、蚊をとってくれる虫だから逃がしてやりなさい」と自慢げに見せる私の虫かごを覗きながら、祖母が諭すようにいったことを覚えています。シオカラトンボやハグロトンボはよく採れたのですが、ギンヤンマ、オニヤンマは、憧れのトンボでした。その頃は、イトトンボやアカトンボの仲間が10種類以上もいることは、まったく知りませんでした。同じように見えるものも、よく見てみるとそれぞれがその個性を主張していることに驚きを感じます。
 岡崎市の豊かな自然は、多くのトンボを育んでいます。この本には、その中の58種類のトンボが載せてあります。また、タイトルには、「たくさんのトンボのすむ街であってほしい」そんな願いを込めました。そして、目の前のトンボの名前が少しでも分かるようにと、できるだけ種の特徴が分かる写真を使いました。しかし、写真の技術もない素人で、しかも短期間で仕上げましたので、できの悪いものばかりですが、どうかご容赦ください。
 また、トンボについて専門の勉強をしたわけではありません。ですから、間違っているところも多々あるかもしれません。私自身がもっと勉強しなければならないと考えています。
 本書の作成にあたっては、三河昆虫研究会の大平仁夫先生、竹本秀邦先生、「トンボ仲間」の浅井稔先生、美術の野田光宏先生にたいへんお世話になりました。感謝申し上げます。

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